楡周平 プラチナタウン
★★★☆☆オススメ度総合
★★☆☆☆感動度
★★★☆☆ハマリ度
★★★★☆面白い度
まあ、こんなうまいこといったら誰も苦労せんわな、という出木杉くんな話ではあるけど、読み物としてみるとおもしろい。
東北というと、私個人的には縁もゆかりもない土地だけにどこまでが真実かは計り知れないのだけど、折からの震災復興という問題も併せて鑑みると、町が活性化して元気になっていく話しは、少なからず希望を持つことができてとてもいいと思う。
そのかわり、いずれ将来自分にも訪れる老後や介護についてまっ正面から問題を突き付けられたようで、ちょっと重苦しい気分にもなった。
詰まるところ、やっぱり金か・・・と。
ただ、そういった地方再生や福祉などの重大な問題であるにもかかわらず、拍子抜けするくらいさくさく読ませる。
登場する町の人たちは東北弁でいい感じになまっていて、とてもあたたかみのある印象だ。
特に町長の右腕のクマケンは、めろめろになるくらいいい味出してる。
主人公の山崎は大手商社本社のバリバリのエリート部長。
運よくいけばこのまま役員コースまっしぐらか、と思われた。
が、思わぬところに落とし穴が待ち受けている、というのが世の常である。
本部長のご機嫌をそこねてしまったばっかりに、いきなりの左遷宣告。
そんな時、幼馴染みのクマケンから借金地獄の故郷を再生するべく町長として戻ってきてくれないか、と懇願されるのだ。
悩みに悩んだ末、勤め先の本部長とは半ば売り言葉に買い言葉的に、勢い余って町長になることになってしまった。
そこから借金返済と町の再生に向けて、老人福祉施設を作るという壮大なプロジェクトの計画が始まるのだ。
シルバーやゴールドよりももっと価値のあるプラチナタウンだ。
小さな町のことで、もちろん利権に絡んで私腹を肥やそうとたくらむ者の反撃にも合う。
しかし、キャリアウーマン渡部の根性焼きで黙ってしまったところは何というか、ちょっと・・・。
できればもうちょっと悪役に徹してほしい気がした。
それ以外は、大きくみてとんとん拍子にコトが進んでいく。
自分が勤めていた大手商社がバックについているのだから、うまいこといかん方がおかしいか。
結局は、社会的に強力なコネでつかむサクセスストーリーかもしれない。
町の再建を目的にしているのだから利益を追求するのはもちろんなんだけど、やっぱりお金が必要なのよね。
クマケン目線である、「低所得者の安心した老後の実現」ストーリーなら絶賛なんだけど。
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