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渡辺淳一 雲の階段

渡辺淳一 雲の階段
★★★☆☆オススメ度総合
★☆☆☆☆感動度
★★☆☆☆ハマリ度
★★★★☆面白い度

自分がウソをついてるみたいで読みながらスゴイいやな汗をかいた。
この主人公、三郎は最悪だ。
少なくとも私はこんな優柔不断な男はご免こうむりたい。
違う見方をすれば、ちょっとまじめで誰にでも分け隔てなく対応できるいい人だと思う。
ただ、いくら腕がよくてもウソで塗り固めた人生はやっぱりどこまでいってもウソなだけなんだと思う。
さらに、周りに流されて自分を持たない三郎は、どこまで逃げても同じ人生が待ってると思う。

「雲の階段」は上下に分かれてるけど、まさに渡辺淳一氏得意の医療問題&エロスの世界でかなり読みやすい。
春のドラマでこの主人公が長谷川博己だと知ってちょっと笑った。
なんかぴったりすぎて。
いや、長谷川博己が優柔不断かどうかは知らないけど、「家政婦のミタ」の時の役どころがまさに優柔不断な役だったんで、今回もなんか簡単に想像できてしまった。
ドラマもちょっとおもしろそうだ。



医師不足に悩む離島の診療所では、たったひとりの医師が島全体の医療をひとりで引き受けていた。
そんな時、島に事務員としてやってきた三郎は意外にも手先が器用で、診療所の所長はその器用さを買って医事を教え次第に手術まで任せるようになる。
新参者の三郎が所長に可愛がられることがおもしろくない他の職員が三郎につらく当たる中、ひとりの看護師明子だけは三郎に親切にする。
そのため、三郎も明子には心を許し男女の関係になってしまう。

そんなある日、所長が東京に出向いて医師不在の島で病人が運ばれてくる。
東京から遊びに来ていた学生の亜希子で、腹痛を訴えるが子宮外妊娠が疑われ緊急手術しなければ助かる見込みがない。
医師免許のない三郎は激しく動揺し躊躇するが、意を決して無我夢中で手術を終える。

助かった亜希子は東京の病院長の娘で三郎を見初め、父親である病院長からも三郎に娘との結婚を勧める。
三郎は医師免許がないことを言い出せないまま、ずるずると言われるがままに結婚して島を離れる。

ニセ外科医として亜希子の父親の病院に勤める三郎は、いつウソがバレるかとびくびくしながら毎日を送っていた。
そんな時、それはやってきた。
病院から医師免許の確認を求められたのだ。
もうこれ以上ウソをつき通すことができないと観念した三郎は、ある日逃亡する。


三郎の罪は大きすぎる。
確かに最初に無資格の者に医療行為をさせた島の所長が悪いと言えばそうなのだが、ウソをついたまま結婚するっていうのがありえない。
これは立派な詐欺だ。
さらに、島の看護師と病院長の娘のふたりのアキコと関係をもち、結局自分の都合のいい時だけ女に頼るというのがもうありえなくらい最悪だ。

もともとがまじめでウソをつき続ける自信がないんだから、最初からそんなことできない自分に気付くべきだ。
自分のウソのために母親をまきこんだり、そんなんだから、女に対してもどっちつかずでケジメをつけられないんだ。
そしてどうしようもなくなったら、自分だけとんずらして終わりにしたつもりでいる。

それと、あんなにお世話になった島の所長が下巻にはほぼ出てこない。
療養中で心配をかけたくなかったと言うのもあるかもしれないが、結婚前に何で所長に相談しなかったのかすごい不思議だ。
逃亡したあとの三郎の人生をもっと見てみたい気がするが、きっと同じことを続けていそうな気がする。
何でもう一歩勇気を持って踏み出せなかったのか、根がいい人なだけにすごい残念だ。

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