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東野圭吾 白夜行

東野圭吾 白夜行

★★★★★オススメ度総合
★★☆☆☆感動度
★★★★★ハマリ度
★★★★★面白い度

実に、850頁ほどあるこの白夜行。
あかん、あかん、これは分厚すぎる。
しかも重い。
そして高い。(1,050円也)
読破するには1週間はかかるな~、と思った。
・・・が、我ながら驚きの4日で完読。

それくらい引き込まれた、と言うより引きずり込まれた。

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章が変わるたびに、あんた誰やねん?! というような、突然登場する初めましてな人物がやたら多い。
まあ、ドストエフスキー文学よりは格段マシか。
なんちゃらかんちゃらウィチとか、なんとかかんとかヴナとか、殺人的に噛みそうな名前はないのでナントカなる。
逆に、この登場人物たちが主人公の雪穂と亮司にどう関わってくるのか、すべてが謎めいて読書スピードは一気に加速するのだ。

雪穂は、それだけべっぴんさんやったら、そら男もころっと騙されるやろ~、と突っ込んでしまいたくなるような美貌の持ち主。
すなわち雪穂と友達になった暁には、200%私が引き立て役に徹してしまうということだ。
しかも少女の頃から美貌を自覚し、男がどうすればなびくか計算ずくなところも、こんにゃろー!モノだ。

彼女が美貌を利用して、女を武器に罠を仕掛けるやり方は相当汚い。
年端もいかん女の子をてなずけるためにも、手段を選ばない。
と言うより、女にとって一番屈辱的なワナを知ってて仕掛ける。
それはないやろー!って思わず叫びそうになったのは、きっと私以外に3人はいたと思う。

ただ、幼い頃に魔物たちの餌食になった雪穂の気持ちを思うと、同情すべき点がないわけではない。
これは雪穂にとって、人生をかけた復讐なのかもしれない。
そういう意味では、美貌に恵まれてよかった。
これがブサイクなら、一生泣き寝入り。
美人はいつも、いつでも9割増しで得だ。

しかし、ひとつの殺人事件をきっかけに、ふたりの少年少女の人生がここまで膨らむのか!というくらい筋書きは圧巻だ。
伏線に次ぐ伏線で一見関係なさそうな話しが、最後にはピタッとツジツマがあってくる。(当然だけど)
そして、思いもかけないラストが待っている。

雪穂にしても亮司にしても、最初から最後まで心の奥深くの内面は表現されない。
まるで仮面をつけているかのように、無表情でしかも冷徹。
だから雪穂と亮司が愛情でつながっていたのか、それともただの不幸つながりなのか、単に亮司は雪穂の捨て駒だったのか、その辺は想像の域を出ない。

何やコレ!!気色ワル!
というようなねっとりした重苦しい感情に、読後はもれなく支配される。
ふたりが一体何を考えているのかわからないのに、深い深い哀しみと孤独感だけがじんじん伝わってくるのが、まさに東野マジック。

とても不思議だ。

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